絵本『ごきげん春夏秋冬』ができるまで — 脱線会議から生まれた動物たちの一年

最初にきっかけになったのは、以前の個展のために描いた「動物たちの食卓」という絵でした。

いろんな動物たちが、ひとつの食卓を囲んでいる絵です。いつもの変わらない日々の食卓。そこに自然と集まっている絵で、この一枚が、のちに『ごきげん春夏秋冬』へつながっていきました。

2019年に描いた「動物たちの食卓」。絵本『ごきげん春夏秋冬』の出発点になった作品。

描いたのは7年前ですがこの絵はまだ私の中で生きていて、いつか絵本にしたいと思っているものです。でも、その絵が今屋さんの目にとまって、思いがけず新しい物語が生まれることになりました。

2020年。コロナ禍の、なんとなく落ち着かない空気の中で、地元のイベントがありました。

そこで、編集者の今屋りかさんと出会いました。

今屋さんは「動物たちの食卓」の絵を見てくれていて、話しかけてくれました。「これ、絵本にできそうですね」と。

そのときはまだ、ふんわりとした話でした。でも、その言葉が、長い時間をかけて形になっていきました。

それからしばらく、今屋さんと数ヶ月に一度、会うようになりました。

美味しいものを食べたり、お酒を飲んだりしながら、創作のこと、仕事のこと、これからのことを話しました。

でも、ちゃんとした打ち合わせというよりは、話はよく横道にそれました。

音楽の話になったり、ウイスキーの話になったり、食べてるのに別の食べ物の話になったり。

いつの間にか、私たちはその時間を「脱線会議」と呼ぶようになりました。

会議と言っても、きれいな議事録があるようなものではありません。でも、その寄り道の中に、この絵本の種がありました。

2020年は、私にとって少ししんどい時期でもあり、コロナの影響で仕事が止まって先のことが見えなくて、癒しでもあった絵に没頭できない時期がありました。

今屋さんとの「脱線会議」は、そういう時期も続きました。絵の話だけじゃなく、家族のこと、介護のこと、その他日々のトホホなことも、話しました。

楽しいだけではない時間も、たくさんありました。

私自身、子どもの頃に出会った絵本が、今でも心を豊かにしてくれています。この絵本を作ってきた日々が、誰かの心の腐葉土になれたら、と思っています。

『ごきげん春夏秋冬』は、日本の四季折々の食べものと、それを囲む動物たちを描いた絵本です。1月から12月まで、それぞれの月に動物と季節の食べものを囲む場面を載せています。

特別なごはんも、日々のちょっとした食べものも、誰かと食べるとなんだかうれしい。そういうことが、自分をごきげんにしてくれる。そしてごきげんは、自分を動かすエネルギーになる。

忙しいときも、うまくいかないときも、季節はちゃんと来る。ごはんを食べる。誰かと話す。
この本を読む人たちが、そんな日々を過ごせるように。
動物たちの姿に、そんな願いを込めています。

この絵本の出版を記念して、6月28日(日)に鎌倉でイベントを行います。

絵本の販売とあわせて、制作の背景や、絵の原画も少し見ていただけるよう準備しています。

脱線会議で話してきたことが、どんな絵になったのか。ぜひ、直接見ていただけたら嬉しいです。

詳細は、また改めてお知らせします。

この本が、必要な方の手元に届いたら嬉しいです。

はまぐり涼子

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