2023年7月『君たちはどう生きるか』映画感想

御年82歳の宮崎駿さんの最新作。
わたくし、小学校一年生の時に『ナウシカ』を映画館で観て、
それまでアニメは楽しいものしか作らないものだと思っていた考えを
見事に覆され、感動とともにやや放心した記憶があります。
何と言ってもかっこよかった。ナウシカという少女が。
そしてすべての登場人物に愛着を感じました。
そんなところから始まっている宮崎アニメを敬愛する私は、
何を観ても観る事ができた喜びをひたすら感じます。

訳が分からない、という方もいらっしゃるでしょうが、
私は宮崎監督の人生のコラージュのようにも感じました。
『感じる』ことを堪能する映画だったように思います。

話の筋よりも、私は絵を存分に楽しみました。
少年のりりしい表情、いつも素晴らしい食べ物を食べる時の音、
不思議なおばあちゃんたち、少年を翻弄するアオサギ、
傷ついたペリカン、そして大量に襲ってくる超間抜け顔のオウムたち。

宮崎映画の物語の中で、ユーモラスさとずる賢さと共に
群を成してくる怖い存在の描き方がいつも秀逸だなぁと思います。
1つ今回なんとなく宮崎さんぽくないと思ったのは白い丸い生き物。
ちょっと違和感を感じましたが、それ以外の全てのキャラクターは
新しいのにもかかわらず宮崎駿さんによって宮崎駿さんらしさをもって
生命が吹き込まれていたように思います。

不思議なんですけれど、この映画を観ながら
もしかしたらゴダールみたいなものかもしれない、などと思いました。
宮崎さんの頭の中の世界をほんの少し表現したに過ぎないのかもしれない。
ゴダールもその複雑で相反する思考の火花を映像に落とし込んだ人ですが
宮崎さんもこの映画で自分を表現されたのかなぁなんて、
4か月経って思いました。

しかし、こんなに好きなジブリ映画、初めて模写しました。
一発描きなんて怖いことしてしまいました。笑