ある映画を観て、それまで自分の中ではかすりもしなかった俳優がきらりと光ってみえる。
そんな体験がたまに起こります。
逆に、何度が脇役で目にした人が気に入ったので主演作を観てみたら、あれ?やっぱり脇役で主役を食うタイプ?というのもありますね。
どこかで引っかかった場合、私はその人の出演作を立て続けに観る映画祭を自主的に開催します。
例えば、グザヴィエ・ドラン。彼の場合は監督作品、主演作品、取り混ぜて観ましたが、『わたしはロランス』が一番感動しました。これは、ドラン自身が出ていない監督作品です。
トム・ハーディ作品映画祭もやりました。『欲望のバージニア』(Lawless)を観たときに、てっきりアメリカ人俳優だと思い込んでいたのにイギリス人だった!という変な驚きから、出演作をあさり始めたら知らぬ前に色んな映画で目にしていた俳優でした。『マッドマックス 怒りのデスロード』(Mad Max: Fury Road)でマッドマックス役だったのですが、すっかりそれを食いきったシャーリーズ・セロンのフュリオサに目が行ってしまい私はほとんど認識していませんでした。『レジェンド 狂気の美学』で演じた双子の役が私にとっては最も迫力満点なハーディでした。『レヴェナント:蘇りし者』(The Revenant)では主役ディカプリオを苦しませる悪役として印象深かったです。
脇役で大好きなのは、サム・ロックウェル。若い頃のゲイリー・オールドマンとちょっと似ている顔つきですが、クレイジーな癖の強い役が上手い俳優さん。『グリーンマイル』(The Green Miles)の気味の悪い囚人役で印象深かったのですが、『チャーリーズ・エンジェル』(Charlie’s Angels)の素朴なふりをしたオタク青年も結構可愛かったという記憶があります。『スリー・ビルボード』(Three Billboards Outside Ebbing, Missouri)の役柄でアカデミー助演男優賞を獲り、やっぱりこの人はそういうポジションが一番光るんだな!と思いました。他にもいくつか観ましたが、ちょっとぶっ飛んだチンピラとかアウトサイダーな感じがとても上手いので、彼を主役にしたラブコメを観たら「あ、なんか違うかな」と思った記憶があります。笑 そして良くも悪くも、演じると存在がアメリカ感たっぷりになること。タイカ・ワイティティ監督の『ジョジョ・ラビット』(Jojo Rabbit)で演じた青少年集団ヒトラーユーゲントの教官は、どう贔屓してもドイツ感がなくてむしろそれが笑えました。彼が主役で演じた作品で面白かったものを挙げるとすれば『月に囚われた男』(Moon)でしょうか。とにかくちょっと不気味な空気感が似合う人です。笑
俳優や監督さんによっては全てを観るには多すぎることも多いので選びますが、こうやって俳優さんの存在感を色んな楽しむのも映画の楽しみの一つですよね。
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